先日の報道によると,2009年末(暦年)の対外純資産は過去最高の266兆円で、19年で世界一とのこと。 対外純資産はプラスの方がいいんだろうけど(まあマイナスなら資産といわないけど)、19年連続世界一というのが良いことなのかどうか分からなかったので、ちょっと勉強してみた。 1.対外債権債務残高と国際収支統計 財務省HPによると、ある時点で居住者が保有する海外の金融資産(対外資産)と、非居住者が保有する本邦の金 融資産(対外負債)の残高を記録した「対外資産負債残高」という統計があり、対外資産から対外負債を差し引いた金額がプラスの計数の場合を対外純資産というそうです。 対外純資産残高は、毎年末時点のものが日本銀行HPに掲載されています。先日の報道はこの公表を受けたものですね。 そして、これと密接に関係する統計として、一定の期間における、居住者と非居住者との間で行ったあらゆる対外経済取引(フロー)を体系的に記録した「国際収支統計」という統計があるそうです。両者はいわばフローとストックの関係にあり、基本的には、ある年末の対外純資産額(対外純負債額)は、前年末の残高に経常収支の黒字額(赤字額)を加えた金額と一致することになります。 国際収支統計は、毎年末時点のものと毎年度末時点のものが財務省HPに掲載されています。5月上旬に、2009年度の経常収支が大幅改善したという報道がありましたが、こちらの報道はその頃に公表された年度末時点の国際収支統計を受けたものです。 フローとストックの関係でいくと、国際収支統計だけ年末と年度末の2種類の統計を採るのかよく分かりません。 何か意味があるのでしょうか。 2.対外債権債務残高の概要 対外資産負債残高の詳細は日本銀行HPに掲載されています。 対外資産・対外債務の内訳がグラフで表されていますが、直接投資より証券投資の方が全然比率が高くてびっくり。 国際的にそうなのか,日本の特徴なのかはよく分かりません。  諸外国との比較で気になったのは、日本の直接投資が低いことです。 直接投資の名目GDP比率は、対外投資、対内投資とも諸外国よりもかなり低い水準です。 特に対内直接投資の名目GDP比率は、諸外国が約19~ 47%に対し、日本はたったの3%。 日本が外国投資の受入に消極的なのか、外国にとって日本に直接投資する魅力がないのかは分かりません(たぶん後者だと思います)が、いずれにしても大きな問題だと思います。  対外資産債務残高はIMFの基準に沿って作成されているようなので、各国の滞在債権債務残高の詳細を比較すれば、日本の問題点はきっとあぶりだされてくるはず。 でも、そのための手間と時間、なにより語学力が不足しているので今回は諦めました(笑) もしかしたら、対外純資産が多い理由は、国内に投資機会が乏しいせいで国内の資金が海外流出し、海外からの資金流入も低調なため、というお粗末な理由なのかもしれません。 国際収支統計をみても輸出総額・輸入総額とも年々減少しているので(円ベースでみた場合)、日本の経済力が少しずつ低下しているのかな、なんて考えてしまいました。 (注)本文中の表・グラフは 「2009年末の本邦対外資産負債残高」(日本銀行国際局・PDF)から引用しました。
本書は、大東亜戦争(太平洋戦争)での旧日本軍の敗戦の分析を通じて旧日本軍の組織特性を明らかにし、さらに、現代日本の政治・企業組織にも旧日本軍に共通する組織原理がみられるとしてその改善の方策を低減している。 ほんの1~2年前までこのテの(太平洋戦争関連の)書籍にはなんとなく抵抗感があったんだけど、取引先の研修機関のお姉さんに勧められて栗林中将関連の書籍を読んでから、得るものありと考えを変えて読むようになった。 本書では、旧日本軍の敗戦の要因を次のように分類している。 (1)戦略上の失敗要因分析 ◯戦略目的のあいまいさ・不統一 ◯長期的視野の欠如 ◯「空気」の支配(主観的な意思決定) ◯ワンパターンな戦略思想 ◯アンバランスな戦闘技術 (2)組織上の失敗要因分析 ◯人間関係重視・インフォーマルネットワーク偏重 ◯組織統合が属人的(制度上は担保されていない) ◯失敗や経験に学ぶ姿勢・組織文化の欠如 ◯動機やプロセスを過度に重視した人事評価・個人責任の曖昧 次に、上記のような失敗要因が生じた原因として、旧日本軍の組織原理を挙げている。 具体的には、軍隊は本来、高度に合理的・階層的である官僚組織であるはずなのに、本来の官僚制と日本独特の集団主義が奇妙に入り交じり、官僚組織のメリットが失われてしまったとのことである(本書でいう「官僚組織」とは、現在一般にいわれている「官僚組織」とはニュアンスが異なる。)。 そして、現代日本の政治・企業組織にも旧日本軍に共通する組織原理がみられるとして、日本の企業組織は環境に応じて柔軟に組織戦略・目的を変更できる自己革新組織となるべきであり、そのためには自己否定学習や公正な人事システム等が重要であるとして締めくくっている。 本書は初版が1984年に出版されているのでかれこれ25年以上も前の書籍だけど、内容は現代にも十分通用する。 本書では、インパール作戦,レイテ海戦、沖縄戦など6つの作戦を例にあげて日本軍の問題点(軍事上ではなく組織戦略・意思決定上の問題)を検証している。そこで挙げられる問題は組織戦略・目的の欠如、コミュニケーション不足による認識の不一致、その場その場の「空気」や情実・インフォーマルな人間関係を踏まえた意思決定など、現代日本の組織が抱えている問題とほとんど同じで、程度の差こそあれ「うちの職場でもこーいうのあるよなあ」と思わされるところが多々ある。それって結構よくないことで、「このままいくと日本ってヤバイんじゃないか」と考えさせられてしまう。 以前取り上げた 山本七平「『空気』の研究」とともに、強くおすすめできる本。
「ホテル・ルワンダ」は、1994年のルワンダ内戦を描いた映画。 当時のルワンダでは、多数派のフツ族によるジェノサイド(民族浄化)によって、数十万人のツチ族が虐殺された。 この映画は、そうした状況で、ホテルに多くのツチ族を匿ってその生命を救ったフツ族のホテル支配人のお話。 この映画には、いろんなものが描かれている。 ラジオで住民に蜂起(虐殺)を呼びかけるフツ族の過激派。 ナタで昨日までの隣人に襲いかかるフツ族の住民。 銃火器で武装しているのに、規則で縛られていて住民を助けられない国連平和維持部隊。 賄賂があるかどうかで、守ってあげるかどうかを決めるルワンダの将軍。 まさに殺されようとしている人々を見捨てて引き上げてしまう欧米の軍隊。 レイプした後で殺すために女性を閉じ込めている檻や、一面に散乱しているツチ族の老若男女の遺体(当然、老人や赤ん坊の遺体もある)など、作りものだと分かっていても思わず顔をしかめてしまうような光景も少なくない(映像自体はそれほど血生臭くない)。 この映画の印象的なシーンとして、主人公と欧米人記者とのこんなやりとりがある。 虐殺の映像を放映してくれてありがとう、これで外国の軍隊が助けに来てくれるだろうと礼を言う主人公に対して、欧米人記者は申し訳なさそうに、これを観た連中は「怖いわね」と言うだけでそのままディナーを続けるさ、と答えるというもの。 このシーンを観て、以前、アメリカの政府高官が「1000人の外国人の命より、1人のアメリカ人の命の方が大切だ」と話していたのを思い出した。 たしかに、「1人の命は地球より重い」「命の重さはみな同じ」なんて言うけど、そんなのは嘘っぱちだ。 ルワンダ人にしてみれば、こんなにひどいことが行われているのにどうして誰も助けてくれないんだ、という思いだろうけど、外国人にとっては、名前も知らない他人の命を助けるために、どうして自分や自分の家族の命を危険にさらさなきゃいけないんだ、と考えるのは仕方のない話。作品では「欧米諸国ひどいじゃん!」という描き方だったけど、個人的には、別に外国人が冷酷なわけではないんじゃないかと思った。 ちょっと話は逸れるけど、以前、ルワンダ中央銀行に総裁として派遣された日本人が執筆した「ルワンダ中央銀行総裁日記」という本を読んだ。その本では、貧しいながらも国の発展と国民の幸せを願って奮闘するルワンダ人政治家の姿が描かれていた。その本の舞台は1960年代後半。それから30年も経たないうちに民族同士で殺し合うような国になってしまうなんて、悲しいし、怖いと思った。国が破綻していくのに、それほど長い時間は必要ないってことか。 この映画、非常に重いテーマな割に、それほど暗くないから不思議。 作品全体にどことなくユーモアがあるというか… 主人公は実在の人物で、「アフリカのシンドラー」とも呼ばれているそうだけど、「シンドラーのリスト」とはずいぶん趣きの違う映画。 個人的には、ボスニア内戦をテーマにした「ノーマンズ・ランド」に似ているな、と思った。 それにしても、いろんなことを考えさせられる映画です。 重いテーマの割に血生臭いシーンもそんなに多くない。 できるだけ多くの人に見てほしい映画です。 (余談) この映画でもう一つ印象に残ったのは、物語の冒頭で、主人公が当たり前のように役人に賄賂を渡しているシーン。 賄賂が完全に日常生活の一部になっているという感じ。 ジム・ロジャースの本にも書いてあったけど、アフリカって本当に賄賂社会なんだなあと思った。
幼いこどもをお持ちの親御さんならお分かりと思いますが、子どもの日常や成長を記録したムービーや写真はあっという間に増えていきます。 こうしたデータは定期的にDVDに焼いてバックアップを取るようにしていましたが、割と時間がかかる上にDVDの保存・管理も面倒で、最近はバックアップがおろそかになっていました。 とはいえ、数年前に当時使っていたiMacが突然クラッシュして大量の写真・ムービーを失った経験のある私としては(当時はほとんどバックアップを取っていませんでした)、大量の写真・ムービーをmacの内蔵HDDに放置したままにしておくのはとても不安です。 そこで、何かいいものがないかと探していたところ、 time capsuleを見つけました。 time capsuleはmac用のHDD内蔵無線LANベースステーションです。 これをmac osのtime machine機能と連動させると、ワイヤレスかつ自動で定期的にバックアップを取ってくれます。 ちょうど自宅の air mac ベースステーションにガタがきていたので、この機会に買い換えました。 ところで、購入したtime capsuleのHDDの容量は1TBです(他に2TBのモデルもあります。)。 愛用のmacbook proの内蔵HDDは250GBなので、1TBをすべて自動バックアップに充てるのはもったいない。 ちょうどmac book proのHDDも写真やムービー、それに音楽ファイルで残り容量が乏しくなってきていたので(というよりは、残り容量が乏しくなってきたために「何かいいもの」を探していたと言う方が正解)、こうしたデータをtime capsuleに移せないかなと思い、google先生のお力添えをいただいていろいろ調べてみました。 その結果、以下の方法で、 time cupsaleのHDDをバックアップ用と外付けHDD用に分けることができるようになりました。 私の備忘録として、また、他の方の参考として、その手順を書いておきます。 1.time capsule内のtime machineのディスクイメージ名をメモ。 「ユーザー名_macアドレス.sparsebundle」 2. time capsule内のディスクを消去。 airmacユーティリティ>time capsule選択 > 手動設定 > 最上段タブからディスク>消去 4. time machineをオフ。 システム環境設定 > time machine > 切 5. ディスクユーティリティを起動。 アプリケーション > ユーティリティ 6. ディスクユーテリティで空のディスクイメージを作成。 ・ファイル > 新規作成 > 空のディスクイメージ ・パーティション項目は「ハードディスク」 ・イメージフォーマットは「スペースバンドル・ディスクイメージ」 ・名前は「ユーザー名_MACアドレス」 ・その他はデフォルト 7. 作成されたディスクイメージをtime capsuleにコピー。 ・私はそのままではコピーできず、Finder > 移動 > サーバへ接続 でtime capsuleにコピーしたら成功。 ・mac内蔵ドライブ側のコピー元ディスクイメージファイルとマウントされている「ディスクイメー ジ」ボリュームはゴミ箱に捨ててゴミ箱を空に。 8. time capsule内のディスクイメージファイルをダブルクリックしてマウント。 macの内蔵HDDに「ディスクイメージ」が作成される 9. ディスクユーティリティを再起動。上記8.の「ディスクイメージ」が認識されるので、これを選択して「取り出す」 ディスクイメージ名は「ユーザー名_macアドレス.sparsebundle」 10. 上記9.のディスクイメージの容量を設定(※ 私は約400GB) ・ディスクイメージを選択 > イメージのサイズを変更 > 下矢印ボタン > イメージのサイズだけを変更 > 新しいサイズをスライダで指定 >サイズ変更 11. 上記9.のディスクイメージをダブルクリックしてマウント。 12. 上記11.のディスクイエージを選択して最大容量でパーティションを作成。 ・パーティションタブ > 「ー」ボタン(ボリュームを消去) > ボリュームの方式で「1パーティション」 13. time machineをオン。 ・システム環境設定 > time machine > オン ・ディスクを変更 > 改めてディスクを選択(パスワードを入力。) 14. macとtime machineを再起動。 ・13.まででは新たに作ったディスクイメージが認識されなかったが、両方を一度再起動したら無事に認識 最初のバックアップは非常に時間がかかるので、LANケーブルによる有線接続の方がよい。 (14.の再起動のときにあらかじめLANケーブルを繋いでおくとよい。) (参考ブログ)参考ブログは以下のとおり。 というか、上記1.~14.は、以下の4つのブログに記載されている手順を自分の経験を踏まえてまとめ直しただけ。 私に質問されても答えられません(笑) ・ Old PowerBook生き残り作戦【アップル パワーブック】 ・ Normal is Best. ・ exyk ・ COMment book
先日、NHKで「 日本の、これから ダイジョーブだよね? 若者とニッポン」という番組が放送されていた。 「草食系」と評される現在の若者について、パネリストをはさんで、大人世代代表と若者世代代表が議論する、という番組。 番組のタイトルからして「大人世代」の視点で若者に批判的な番組構成だろうことは予想できたけど、仕事柄若者世代の意識に興味があったので観てみた。 番組を観ていて若者世代に感じた点は以下のとおり。 1.現状認識の甘さ いちばん気になったのは、自分は現状に満足しているので仕事で頑張る必要はないという趣旨の発言をする人が少なくなかったこと。足るを知るのは大切だけど、現状に満足しているかどうかと仕事で頑張る必要がないかどうかは全くの別問題。 近年は経済のグローバル化や 日本国内の少子高齢化が進展しているので、将来的にはいま以上に海外と激しく競争していかなければいけないのは明らか。言ってみれば、我々はゆっくり流れる川の中にいるようなものなので、上流を目指す人はもちろん、現状維持でいいという人も(程度の差はあれ)流れに逆らって泳ぎ続けなければならないのは同じ。もし「いまのままでいい」と思って泳ぐのを止めてしまったら、段々と下流に流されてしまい、もとの場所には戻れなくなってしまう。 仕事と私生活のウェイト配分をどうするかは個人の自由だけど、もしかしたらウェイト配分の前提となる現状認識にちょっと問題があるんじゃないかなあと思った。 2.周囲に対する過剰な期待(甘さ) もう一つ気になったのは、若者世代に問題があると思うならその改善のために大人世代が役割を果すべきだとか、大人世代が自分たちを育ててくれない・期待してくれないのでモチベーションが上がらないという発言をする人が少なくなかったこと。一方では、会社の人との付合いよりも私生活(趣味とか)を優先したいと言っていながら、他方では、自分たちに育ってほしかったら会社の人たちが手(目)をかけるべきだというのは、いささか虫が良すぎるんじゃないかと思った。 好意の返報性という言葉がここで適切かどうかは分からないけど、相手に構ってほしかったら自分からもっと積極的に関わるべきだし、自分から積極的に関わる気がないなら相手に何かを期待すべきでないんじゃないかな。もしかしたら、積極的に関わりたいけどその方法が分からない、ということなのかもしれないけど。 なお、誤解のないよう付言すると、上記の2点は、大人世代と若者世代を比較して若者世代に欠如していると考えた点、あるい は、若者世代に特徴的な点、ではない。単に番組を観ていて若者世代に感じたことを書いただけであって、同様のことが大人世代にも言えるかどうかは 問題にしていない。 個人的には、自分たちの価値観こそ正しいと考え、その価値観で理解できない若者世代の思考・行動を問題だとする大人世代もどうかなあとは思った。もしかしたら、そういった自分たちとは異なる価値観を理解できない硬直性こそが現状の閉塞感の原因だったりして。まあ、番組の中でも誰かが言っていたけど、大人世代と若者世代に本質的な違いがあるわけじゃなくて、大人世代が若者だった頃と現在では社会を取り巻く環境が大きく違うというのが本当のところなんだろうなあ。 (参考リンク) ・ pikarrrのブログ・ 無臼 wave sight・ 暇つぶし 実験・ ささやかな思考の足跡
≪ 前ページ | HOME |
次ページ ≫
|
後でじっくり、読みたいと思います。レバレッジ君私が子ども手当を支持しない2つの理由お邪魔します。
思うに子ども手当の根底にあるのは「子供達のためだから」という「主観的な善意の絶対化」ではないでしょうか。それは「女性のため」という「選択的夫婦ブロガー(志望)私が子ども手当を支持しない2つの理由私も子供手当は反対です。理由は、今は景気回復に全力を尽くすべきだから
です。子供手当の経済波及効果は極めて低いです。福祉をやってる場合か?
今がどんな時期なのかこなつホテル・ルワンダ>あつまろさん
コメントありがとうございます。
フツ族とツチ族って、統治しやすいようにベルギーが体型や鼻の高さなどを基準に無理矢理2つに分けただけで、実際に空色ホテル・ルワンダホテルルワンダ、私も印象に残っている映画です。
ツチ族とフツ族は以前から小競り合いはあったと思いますが、
旧宗主国のベルギーがツチ族を優遇したことで、憎悪がわきあつまろ