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医療コストは誰が負担するべきか

今回は、投資とは直接関係ありませんが、
たけ先生の「株式投資の心理学を語るブログ」
資本主義と社会主義の間で~医療崩壊のデフレスパイラル
医療崩壊②~医療崩壊はなぜ崩壊が崩壊を呼ぶのか??
の流れです。

私は、今年誕生した娘が出産直後にNICU(新生児集中治療室)に転院になった関係で(現在は無事に退院しています)、最近、医療関係、特に産科・小児科関係の問題には非常に敏感です。

奈良県の大淀病院の妊婦が18病院で搬送を拒否され、搬送された19番目の病院で死亡したという先日のニュースは大変ショッキングでした(事後の報道によると、他院に搬送するまでの不手際によるところが大きいようです)。

しかし、不謹慎な言い方ですが、ある程度予見されたことでもあります。実際、妻が出産した産科は、「病室が満員なので」という理由で、なるべく直前まで自宅で過ごすよう指導されましたし、娘が搬送されたNICUもほぼ満杯状態で、「いま病気の赤ちゃんが生まれたら、その子はどこで治療を受けるんだろう?」と心配した記憶があります。

今回の奈良県の事例も、搬送を拒否した病院はどこも患者の受け入れが困難な状態にあった可能性が高いと思います。その意味では、たけ先生のブログで指摘されているように、「医療崩壊」の一事例と捉える方が適切です。

そして、医療崩壊の解決のためには、最終的には、産科・小児科の待遇を改善する、具体的には、産科・小児科の報酬を引き上げて必要な人材を確保し、現在の過酷な労働環境を改善する必要があります。
当然、そのためには大きなコストがかかりますから、医療崩壊の問題は、医療に要するコストを誰が負担するのかという問題だと整理できます。

そこで、医療のコストを誰がコストを負担すべきかについて、
(1)国民全体
(2)実際に治療を受ける患者
(3)医師
の3者に分けて検討してみます。

(1)国民全体
意外と知らない方もいるようですが、保険診療(いわゆる「保険のきく診療」)の場合、医師(病院)が国(正確には健康保険組合)から受け取る診療報酬は国によって診療内容に応じて細かく決められています。
したがって、もっとも単純な解決策は、産科・小児科の診療報酬を引き上げることです。

より具体的に言うと、検査の内容や治療の内容によって診療報酬が決まるという現行制度の場合、症状にかかわらず他の診療科目よりも人手を要する産科・小児科は相対的に(1人当たりの)診療報酬が低くなるので、結果として「割に合わない」ものとなってしまいます。そのため、必要な人手に見合った診療報酬が支払われるよう、診療報酬の算定方法を改める必要があると思います。

※趣旨の明確化のため青字部分を追記しました。


そして、診療報酬を引き上げるということは、健康保険組合が支払う額を増やすということですから、当然、健康保険組合の加入者(国民)が負担する保険料が値上がりすることになります。

(2)実際に治療を受ける患者
前記(1)とは別の方法として、患者の窓口負担額を増やすことで医師が受け取る報酬を実施室的に引き上げる方法もあります。いわゆる「受益者負担」という考え方です。
具体的な方法論はいろいろ考えられますが、一つだけ明らかなのは、産科・小児科の受診料が大幅に値上がりするので、所得の低い人は十分な医療を受けられなくなるおそれがあります。

(3)医師
医療崩壊の原因は、極論すれば、医師に支払われる診療報酬が「割に合わない」ことです。したがって、現状を維持するということは、医師に対して「足りないけどこれで頑張ってくれ」と言っているのと同じことです。

前記(1)~(3)を比較した場合、短期的にみていちばんコストがかからないのは(3)です。しかし、医学部の学生が産科・小児科医になる義務がないのはもちろん、産科・小児科医が現在の診療科を続ける義務もありませんから、この問題を放置すると「医療費は安いが医者がいない」という事態を招くおそれがあります(そして、この可能性は非常に高いと思います)。

したがって、医療崩壊を食い止めるためには、(1)と(2)のどちらかを選択するしかありません。
日本人はしばしば、「国民負担」という言葉を使って税金や社会保険料の値上げを嫌います。もちろん、税金等は安い方がいいに決まっていますが、日本がいま直面している問題の多くは、「コストを負担するかどうか」ではなく「コストを誰が負担するか」であることを見誤ると、後で大きなツケがまわってくるのではないかと懸念しています。


〔参考記事〕
新小児科医のつぶやき 「医療の堤防」
[ 2006/10/25 15:33 ] 時事ネタ | TB(0) | CM(14)

考え方の順序としては、医学的に無駄な治療を止めることなどによって、医療費を抑制した上で、誰が医療費を負担するかを検討することになります。

ただ、第一段階の「無駄な治療」を誰が判断するかということ自体で、「無駄な治療」の定義が変わってくるので、議論はなかなか収束しないのではないかと思います。極論を言えば、「命を延ばす行為を無駄だと考えることはできない」という立場もあり得ますので、激しい対立が予想されます。誰が負担するかという議論に行き着く前に医療崩壊してしまうかもしれません。

第二段階の議論としては、全国民が能力に応じて負担するということでよいと思います。
[ 2006/10/25 20:09 ] [ 編集 ]

コメントありがとうございます。

考え方の順序としてはPALCOMさん御指摘のとおりと思います。ただ、PALCOMさんが「無駄な治療」として延命治療・終末医療のあり方を念頭に置いていると理解すると、御懸念されているように、議論が決着するまでには長い時間がかかると思います。
医療費に占める「無駄な」延命治療等の割合がそれほど高いとは思えない一方、産科・小児科の危機的状況を考えると、取りあえず必要な措置を講じてから無駄を検証・削減していくべきと考えています。

私も医療費は国民全体で広く負担するべきと考えています。アメリカのような医療制度が望ましいものとは思えませんから。ただ、例えば、喫煙者には保険料を上乗せするなど、多少の工夫はあってもよいと考えています。
[ 2006/10/25 21:08 ] [ 編集 ]

医療費に占める「無駄な」延命治療等の割合は、事実の問題なので調べればわかることであり、ここで議論しても意味がないかもしれませんが、かなりの割合に達することは間違いないと思います。

http://www.urban.ne.jp/home/haruki3/kougakui.html

[ 2006/10/25 22:03 ] [ 編集 ]

御紹介のあった記事を拝見しました。
「無駄な」延命治療をどう定義するかによって、評価が大きく分かれそうな気がします。
極端な例として、
(1)延命の見込みの乏しい(僅かでは可能性のある)治療行為も含めてすべて「無駄」と考える場合
(2)延命の可能性がなく、かつ、家族等が尊厳死を希望しているにもかかわらず行われる延命行為のみを「無駄」と考える場合
のどちらの考え方を採用するかで評価が大きく変わりそうです。
・・・・やっぱり、「第一段階」の議論は難しいですね。
[ 2006/10/25 22:22 ] [ 編集 ]

そうですね。入り口の段階からして、議論は難しいですね。

一応、延命確率の低い患者に対する高額医療が医療費高騰の大きな原因であることを前提としますと、

①医学的に正確な延命確率の判定が可能か?
②正確な延命確率の判定が可能として、どこで「無駄」の線引きをするか?
③延命確率ゼロを「無駄」としてよいか?-尊厳死の法制化の可否とその要件
④高額医療費がなくなることによって倒産・失業するであろう大量の企業や医療従事者の抵抗を排除できるのか?

結局、理論的には、「無駄」な医療を止めるべきなのですが、実際には議論の入り口ですら、解決の糸口が見えません。

その結果、医療従事者の給与は上がらずに医療(特に高齢化率の高い地域の医療)は崩壊し、医療亡命が起こるような事態になるのではないでしょうか?医療亡命(=日本の医療より優れた医療を受けることを目的とした海外移住)については、いずれ、私のブログでも取り上げたいと考えています。



[ 2006/10/25 22:58 ] [ 編集 ]

追記

>そうですね。入り口の段階からして、議論は難しいですね。
本当にそうですね。
ブログの記事、楽しみにしています。

ところで、私の記事の問題意識はどちらかというと診療報酬の在り方についてだったのですが、記事を読み返してみるといまいち趣旨が伝わっていない気がしたので、青字部分を追加してみました。
[ 2006/10/25 23:19 ] [ 編集 ]

率直に言って、それほど無駄な延命治療が行われているとは思わないけどなぁ・・・。「これ以上処置しても患者さん本人が苦しむだけですから・・・」とか言ってあっさり打ち切ってるケースが多いと思うけどね。患者の家族がトコトン延命を求めるケースは別だけど、多くの家族は上のようなことを言われて延命治療をあきらめてるのが現状だと思うけど。
[ 2006/10/25 23:24 ] [ 編集 ]

「無駄な延命治療」の範囲

>通りすがり さん

まず、私はあなたと同じ意見です。

他方、PALCOMさんの主張は、そういった狭い意味での延命治療だけでなく、助かる見込みの少ない治療行為は止める(あるいは保険診療の対象から外す)べき、というものと理解しています。
感情的には受け入れにくい話ですが、少子高齢化の進展につれて国民1人あたりの医療費負担が漸増していくことを考えると、将来も現在と同じ保険診療制度を維持するのは難しくなると思います。その際、そもそも保険診療制度をなくしていまうのか、それとも、保険診療の範囲を限定するのかといった議論になったときには、PALCOMさんのように考える人が増えても不思議ではありません。
[ 2006/10/27 00:51 ] [ 編集 ]

無駄な延命治療

詳しくはしらないんで、間違ってるかもしれませんが、
無駄な延命行為とは、助かる見込がないのに、大腸を全部切って、少し、寿命をのばすとかいうようなことだということを聞いたときあるような
[ 2006/10/27 21:12 ] [ 編集 ]

たけ先生

何が「無駄な延命医療」かは国民的な問題です。

富山市立速水病院で、医師が呼吸器を外して「安楽死」させた、として殺人罪に問われかけた事件をご存知でしょうか??

うんとさんやPALCOMさんの考え方ですと間違いなく「無駄な」延命医療ですが、現状では延命医療を中止することはむしろ刑事罰をうけかねません。
誤解のないように一言申し上げますが私は基本的に「無駄な」延命医療の中止により医療費問題はほぼ適正化され、小児科、産科、自殺対策、精神科、救急など必要なところに資源をまわせるのでお二人の意見に賛成です。

ただ、法律がそれを許しません。「無駄な延命医療を中止しよう。そのために法改正しよう。」と政治生命をかけて言ってくれる政治家が一人もいないのです。
[ 2006/10/27 23:23 ] [ 編集 ]

コメントありがとうございます。

コメントが長文になったため別の記事にしましたので、そちらを御覧ください。
http://startfroma.blog57.fc2.com/blog-entry-50.html
[ 2006/10/28 10:33 ] [ 編集 ]

PALCOM

空色様、皆様こんにちわ。

私の議論が飛躍していたので、話が分かりにくくなってしまったかも知れません。話を整理したいと思います。色々なコメントを読ませていただいた限り、⑥の事実が国民の間で共有されていないように感じます。

①産科や小児科は、信じられないような激務になっており、急患も受け入れられない事態が生じている。お産難民という言葉も生まれているらしい。
  ↓
②産婦人科医や小児科医の数を増やし、且つ医師の給与もアップすべきだ。(空色さんの主張のポイント)
  ↓しかし
③医療費が激増しているので、現状のまま、医師の給与をアップしたり、医師の数を増やすのは無理
  ↓従って
④無駄を削るか、保険料を上げるか、国民皆保険を放棄するかなどの措置が必要。
  ↓
⑤無駄を削るという選択肢をとるとすると、どこが無駄かの検討が必要
→保険料を上げるというのは、非常に安易な対処方法であって、根本的な対策ではないので、この選択肢はあり得ません。さらに高齢化が進展すれば、際限なく保険料が上がってしまいます。
  ↓
⑥延命確率が少ない者に対する高額医療が医療費を圧迫しているというのが事実であり、予防医療の拡充や病院のサロン化の防止は、医療費節約という点では本筋とあまり関係がない
http://www.urban.ne.jp/home/haruki3/kougakui.html
→もちろん、理想論としては、老化そのものを抑制したり、老化に伴う発病を防げればよいのですが、現状の医学レベルでは、それは無理です
  ↓従って
⑦産科医などの待遇を上げるためには、延命確率が少ない者に対する高額医療をどうするか、つまり、「どこまで生かすか?」という議論が不可避
  ↓しかし
⑧政治家が「どこまで生かすか?」という議論など、議論の遡上に載せることすらできないと思われ、抜本的な改革は難しい
  ↓
⑨解決策としては、
 (1)保険料を上げる-国民が破産する(アメリカでは現実となっている。)
 (2)国債を増発する-国家が破産する
 (3)医療従事者に負担を押し付ける-医療制度が破綻する
 (4)医療制度にも、経済合理性を取り入れる-聞こえはいいが、言葉を代えると、貧乏人は早く死んでくれということ

[ 2006/10/28 12:57 ] [ 編集 ]

TBありがとうございました

大騒ぎが一段落したので、やっとゆっくり目を通させていただきました。出典はもうどこか忘れてしまいましたが、医療費が増える要因として、一般に言われる過剰検査、過剰治療、高齢化、終末時医療は無関係であると非常に丁寧に論証されているサイトがありました。出せれば良いのですが、忘れてしまったのでゴメンナサイ。

医療費高騰の真の原因は医療の高度化であるということです。伝聞調になってしまうのが悔しいのですが、日本だけではなく、アメリカのデータも詳細に検討されてのものでした。

それでは医療費の高騰を抑えるためには医療の進歩を抑制するのが一番の方策という事になります。分かり安い例で言えば、インフルエンザにタミフルという特効薬が開発された結果、高価なタミフルが毎冬湯水のように使われます。これにより医療費が確実に押し上げられています。

これを今さらナシにはできないでしょうし、タミフルが出来た事で医療費が増えた事を恨んでいる人間は少ないかと思います。こういうエポックメーキングな治療法が開発されればその分医療費は高騰します。

他にもCT、MRI、エコーなどが治療診断にどれだけ役立っているかはご存知かと思います。他にも枚挙に暇がないほどありますし、これからも続々出て来ます。

延命療法の問題に論議を重ねられたようですが、医療費を抑制する、または削減するとなると、これらの医学の進歩を止めるか、または経済諮問会議が主張する、混合診療で金持ちだけが最新治療を受けられ、貧乏人は保険枠内での限定的な治療に甘んじなければなりません。

そういう選択が望ましいか、望ましくないか。そういう議論を治療を受ける患者側で起こして欲しいのです。もちろん議論は望ましいか、望ましくないかの二元論ではなく、段階的に望ましい治療レベルに応じた費用負担が発生するのですから、どの程度の負担でどの程度のレベルを望むかという議論です。

現在のように減らすだけ減らすが、医療水準はそのままないし世界の最高水準を万人に維持しろは、どこかで無理が来ます。というかもう無理がきています。

残念ながら高度の医療を行なうほど金がかかります。一方でどんどん医療は高度化しています。その恩恵はある程度無意識のうちに受けられているかと思います。

この先をどうするかは医者の力ではどうしようもありません。医師会も10年以上前から無力化しています。決定するのは国民の声です。

よろしくご議論いただければ幸いに存じます。
[ 2006/10/28 19:03 ] [ 編集 ]

コメントありがとうございます。

コメントが長文となりましたので、新たに記事を書きました。
そちらを御覧いただければ幸いです。

http://startfroma.blog57.fc2.com/blog-entry-51.html
[ 2006/10/29 02:08 ] [ 編集 ]

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