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計画停電で電気代は安くなるか

 3月14日から28日にかけて東京電力管内で実施された計画停電。最近は実施見送りが相次いで落ち着いてきた感はあるものの、実際に停電した地域は本当に大変だった。計画停電中は電気が使えなかったわけだから、その分だけ電気代が安くなるのは当然と思うものの、細かいことがよく分からなかったので調べてみた。

1 計画停電の根拠(供給の中止)


 電気の供給は、東京電力と一般家庭の契約に基づいて行われている。とすると、東京電力が一方的に電気の供給を止める(停電する)ことは契約上許されるのか。平成22年10月22日付け電気供給約款(以下「約款」と言う。)には、次のような規定がある。

40 供給の中止または使用の制限もしくは中止
(1) 当社は,次の場合には,供給時間中に電気の供給を中止し,またはお客さまに電気の使用を制限し,もしくは中止していただくことがあります。
 イ 異常渇水等により電気の需給上やむをえない場合
 ロ 当社の電気工作物に故障が生じ,または故障が生ずるおそれがある場合
 ハ 当社の電気工作物の修繕,変更その他の工事上やむをえない場合
 ニ 非常変災の場合
 ホ その他保安上必要がある場合
(2) (1)の場合には,当社は,あらかじめその旨を広告その他によっておさまにお知らせいたします。ただし,緊急やむをえない場合は,この限りではありません。


 今回の計画停電は、約款上は、40(1)イないしホのいずれか(より正確にはニ又はホのどちらか)の場合に該当するとして、東京電力が電気の供給を中止したことになる。

2 電気料金の割引

 それでは、東京電力が電力の供給を中止した場合、電気料金はどうなるのか。約款には次のような規定がある。

41 制限または中止の料金割引
(1) 当社は,40(供給の中止または使用の制限もしくは中止)(1)によって,定額電灯,従量電灯および低圧電力に対する電気の供給を中止し,または電気の使用を制限し,もしくは中止した場合には,次の割引を行ない料金を算定いたします。ただし,その原因がお客さまの責めとなる理由による場合は,そのお客さまについては割引いたしません。
 イ 割引の対象
 定額電灯については需要家料金,電灯料金および小型機器料金の合計とし,その他については基本料金(力率割引または割増しの適用を受ける場合はその適用後の基本料金とし,従量電灯Aの場合は最低料金とし,また,従量電灯Bで最低月額料金の適用を受ける場合は最低月額料金といたします。)といたします。ただし、(以下略)
 ロ 割引率
 1 月中の制限し,または中止した延べ日数1 日ごとに4 パーセントといたします。
 ハ 制限または中止延べ日数の計算
 延べ日数は,1 日のうち延べ1時間以上制限し,または中止した日を1日として計算いたします。
(2)~(3) (略)

 多くの一般家庭は、41(1)イの4行目に出てくる「従量電灯B」という契約種別である。この規定によると、1日1時間以上停電した日1日につき、基本料金が4パーセント割引されるという仕組みになっている(1か月に1日1時間以上の停電が25日を超えると基本料金が無料となる。)。


3 実際の割引額

 それでは、実際の割引額はどれくらいとなるのか。先日届いた2月分の自宅の電気料金は、次のとおりだった。

a.基本料金      819円00銭
  電力量料金
b. 1段料金   2,144円40銭
c. 2段料金   3,657円60銭
d.燃料費調整額    -526円40銭
e.合計      6、094円


 この内訳のうち、計画停電による割引の対象となるのはa.の基本料金。仮に、利用期間中に5回、それぞれ1時間以上の停電があったとすると、基本料金が20パーセント・約164円が割引となる。割引額は電気料金全体の3パーセント未満と微々たるもので、なんだかがっかり。
 もちろん、停電や節電で消費電力量が減っていれば、電力量に応じて課金される電力量料金もその分だけ安くなるから、実際の電気料金はもう少し安くなるはず。


[ 2011/04/08 10:03 ] 時事ネタ | TB(0) | CM(0)

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