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バリュー投資とインデックス投資

相互リンク先の2人の記事が面白かったので参戦(?)します。
○株式十八番!「バリュー投資とインデックス運用の違い」
○PALCOMの海外投資塾「インデックス投資 vs バリュー投資」

話を始める前に、公正を期すため、最初に自分の立ち位置を表明します。
○個別株投資とインデックス投資は併用(個別株投資は国内だけ、インデックスは国内・国外両方)。
○市場は非効率的だと信じている(市場は時々間違えるが、それは自分が正しいことを意味しない)

さて、話を進めます。
個人的には、このテーマはいつも議論が噛み合いません。それはどうしてかといえば、「インデックス投資家」と「バリュー投資家」では投資に対する基本的な認識が違うからです。

現代金融理論の大前提として、「リスクはボラティリティである」という概念がります。「インデックス投資家」の方は当然、この前提(及びこの前提を踏まえて構築されたさまざまな議論)を当然のこととして話を進めることになります。
ところが、「バリュー投資家」の考える「リスク」とは、投下資本が元本を毀損することです。ボラティリティをリスクと捉えるなんてナンセンス、と考えているのですから、そのナンセンスな概念を前提として成り立っている理論なんてとてもじゃないが信用できない、というのが「バリュー投資家」の立場です。

また、PALCOMさんは、海外投資にはインデックス投資の方が適していると指摘されていますが、これも「海外分散投資が必要」という前提があって成り立つ議論です。
個人的には、「バリュー投資」はリターンの極大化を目指す投資戦略で、「インデックス投資」は資産の保全(実質購買力の確保)を目指す投資戦略だと考えています。前者は一攫千金を夢見る庶民のための戦略、後者は子孫の安泰を願う資産家のための戦略、と言っていいかもしれません。
つまり、「バリュー投資」で重要なのは十分なリターンの見込める投資機会です。米国の方が儲かると思えば米国に投資するのでしょうが、「海外分散投資」は絶対条件ではありません。

つまり、私が言いたいのは、前提条件を整理しないとそもそも議論が成立しない、ということです。
「バリュー投資」と「インデックス投資」のどちらが優れているのか、それぞれの立場から思い入れのある方が自分の思いを主張されるのは自由ですが、自分の主張が論理的に正しいとまで主張されるのであれば、議論の前提条件からきちんと整理する必要があると思います。

ちなみに、個人的には、どちらが優れているのかはあんまり興味がありません。
私はバフェット氏を尊敬して個別株投資を実践していますが、金融資産のかなりの割合はETFで運用されていたりします。どっちつかずと言われようと気になりません。私にとって投資はあくまで手段であって、目的ではありませんから(といいつつ、「バリュー投資」能力の向上は目的だったりします)。

大切なのは「バリュー投資」と「インデックス投資」のどちらが優れているかより、それぞれの投資家が現在の相場環境でも将来を見据えて行動できるかどうか、だと思います。
それに、いまこの時期に株式市場に身を置いているという点で既に世間一般からは十分に「浮いて」いるわけですから、浮いている同士で些細な相違を議論したって仕方ありません(笑)
[ 2008/09/28 01:21 ] 投資全般 投資哲学 | TB(0) | CM(7)

同意見です

TBありがとうございます。
PALCOMさんの記事は核心をついた良い記事だと思いましたが、末尾の「全体的にみると、インデックス投資に軍配が上がるような気がします。」で、え?と思った次第です。

確かにバリュー投資には一般性が無くインデックス運用では誰でも気軽に手を付けられるということは間違いなく、国際分散投資も容易です。

ただ、だからといってどちらに軍配を上げるかは別の話。理由は空色さんが仰るとおりです。
バリュー投資にもいろいろ問題点はありますが、実践してもない人が優劣を語ることに違和感があるわけです。

もっとも、私は海外個別株投資も海外インデックス運用も国内バリュー株投資も行っているのでかなり「浮いて」いると自覚しています(笑)
[ 2008/09/28 12:33 ] [ 編集 ]

>ぐっちさん

確かに文末が意外でした。どういった観点から評価したのかが全然分からなかったし・・

というか、PALCOMさんが先日、御自身のブログで「他人の投資判断をとやかく言うべきでない」的な記事を書かれていたので、どうしてわざわざ(インデックス投資家の立場から)投資手法の優劣を論じるのかがよく分かりませんでした・・

まあ、インデックス投資の方が万人向けという点に異論はありませんけどね。私
[ 2008/09/29 00:04 ] [ 編集 ]

はじめまして。
私も同意見です。 特に「それぞれの投資家が現在の相場環境でも将来を見据えて行動できるかどうか」という点が。

私の場合、現在はオプション取引をメインにやっているものですから、ボラティリティは最大のチャンスの人間でもあります。
ただオプション取引は今後の相場を予想するという作業が必要になります。
この作業をするようになってから、少しずつですが成績もあがるようになってきたので投資スタイルを追求するより、投資感覚を養うほうが重要なのかなと感じた次第です。

もうこうなってくると、インデックス投資、バリュー株投資の両方からみても対極に意見になりつつありますね。

まとまりの無い文章で申し訳ございません。 今後ともよろしくお願いいたします。
[ 2008/09/29 01:25 ] [ 編集 ]

たしかにインデックス投資とバリュー投資を比べても意味はないと思います。
万人に向いていると思いますが、僕はよく判らないのが、


インデックス投資家さんでも、ドルコストとスポットどん!と買われる方。
特にスポットで買われる方はある意味バリュー投資家にちかいのではないでしょうか?

銘柄の選択が難しいと判断もあると思うのですが、
効率的市場を信じつつ、長期に経済は上昇するけど、たまに市場は間違いをする・・・・。
だけど、ずっとホールドと言う方を見かけますがどうなんでしょうか?

で、やっぱりこの手の話題は盛り上がりますね^^;
[ 2008/09/29 12:43 ] [ 編集 ]

コメントありがとうございます。

>しおじゃけさん

はじめまして。
>>投資スタイルを追求するより、投資感覚を養うほうが重要なのかなと感じた次第です。

そうですね。仰るとおりだと思います。

>かえるさん

私もよく分かりません(笑)

個人的には、インデックス投資家には
(1)広義のインデックス投資家:
 インデックスに投資する投資家(思想・信条・投資手法は問わない)
(2)狭義のインデックス投資家:
効率的市場仮説を信じ、ドルコスト平均法で世界分散投資(もちろんbuy&hold)
という2つの意味があり、両者がごちゃまぜに使われているので分かりにくいのだろうと勝手に納得しています。




[ 2008/09/30 00:59 ] [ 編集 ]

確かに、読み返してみると、最後の一文が唐突かもしれません。

最初の一文にあるように、バリュー投資家が激減しているという事実を知り(空色さんのブログで知りました。)、その理由について、インデックス投資との対比で考えてみたことが記事を書くきっかけでした。角山さんなど、有名なバリュー投資家が出てきて、バリュー投資が流行しているのだとばかり思っていたので、びっくりした次第です。

バリュー投資家が激減しているという現実があるとすれば、その理由があるはずで、それは端的にいうと、多くの投資家にとって「手間をかけるほどには儲からない」ということに尽きるのではないかと思います。そして、その根本的な原因は、日本経済の不調にあると思われますが、インデックス投資(空色さんのおっしゃる広義のインデックス投資、個別銘柄の分析を放棄する程度の意味)であればその根本的原因を簡単に回避できるので、多くの投資家がインデックス投資に流れるのも無理はないなというのが記事の趣旨でした。

ですので、もちろん、両投資法の優劣を抽象的に比較しているわけではありません(それは、私自身のブログにも書きましたし、また、ぐっちさんがご指摘のように無意味だと思います。)。しかし、先述のような事実があるわけですので、そのような事実を踏まえた上で、自分が採用している投資方法の実際的な長短について自答してみることは必要なはずです。

やはり、反論は、「手間はかかるけれど、きちんと分析すれば日本株バリュー投資でも儲かるので、海外インデックス投資に乗り換える必要を感じない」というものなのではないでしょうか?


[ 2008/10/01 14:03 ] [ 編集 ]

>PALCOMさん

こんばんは。コメントありがとうございます。

個人的には、いわゆる「バリュー投資家」の多くは、(株式投資に特別の情熱を持たない)普通の個人投資家にとってはインデックス投資が最良の選択肢であるという意見に賛同するし、実際にインデックス「にも」投資している方も少なくないと考えています(私もそうですし、ぐっちさんもそのようです。)。
何も、どちらか一方を選択しなければならない理由はありません。

どうして個別株投資をやめないのかと言われれば、私の場合、
・インデックス投資のリターンは「市場平均」にとどまる(市場全体が下がればリターンもマイナスとなる)が、個別株投資は市場平均とは関係なくリターンを追及できるから
・個別株投資が面白いから
の2つが理由です。

2つ目の「面白い」について補足すると、インデックス投資でも、アセット・アロケーションを考える際に、世界中の市場の将来性等を個別に検討し、どのインデックスにどの程度投資すべきかという投資判断を行っているはずです。
個人的には、そのようなマクロ的な検討より、個別企業の決算書を読み込んで将来性等を検討する方が性に合っていると考えています。

それと、PALCOMさんのコメントの中で、日本経済の不調が「バリュー投資」の儲からない根本原因ではないか、という御指摘がありましたが、個人的にはそのようには考えていません。不況の際でも「下がりすぎ」な企業の株は買いですし、好況の際も「上がりすぎ」な企業の株は買わないからです。
[ 2008/10/02 00:12 ] [ 編集 ]

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