多少時間がかかってしまいましたが、先日の記事「投資するのは企業か、株式か。」についてこなつさん、Itoさんからいただいたコメントに対するコメントです。
こなつさんが御指摘されているように、私も、「バリュー投資」とは本来、資産株投資だけだと思います。グレアムの「賢明なる投資家」で紹介されている割安株の探し方を見てもそのように思います。
また、Itoさんは、株式市場がグレアムの頃より効率化した現在では、純粋な意味でのバリュー投資(資産株投資)はグレアムが活躍した時代より難しくなっているのではないかと指摘されています。
私の個人的な意見では、資産株投資が難しくなっているとしたら、ビジネスの環境が変化してきたからではないかと思っています。うまく言葉にできないのですが、ビジネスにおいて「ブランド」や「サービス」など「無形の資産」(つまり貸借対照表には載ってこない資産)がビジネスにおいて大きな比重を占めるようになってきているのではないかと考えています。
とはいえ、資産株投資が難しくなったといっても、含み資産を目当てに銀座のデパートや関西の鉄道会社の株が投資ファンドに買われたりしていますので(フジテレビの株を目当てにニッポン放送株を取得したライブドアも「資産株投資」と言えますよね)、資産株投資の機会がなくなったわけではないと思います(グレアムの頃よりマニアックになっているとは思いますが)。
ただ、個人的には、企業の財務諸表を読み込んで保有資産を細かくチェックしていくより、企業のビジネスを分析して将来の成長性を予測するほうが面白そう(性に合っている)と思うので、私の投資スタイルは引き続き、企業価値に重きを置いたバフェット流になるかなと思います。
ところで、こなつさんやItoさんが指摘されているように、私も、「収益バリュー」をグレアム流の「バリュー投資」と呼ぶことに違和感を感じています。
バフェットの言葉に、「『バリュー投資』という言葉は意味が二重になっています。投資が、少なくとも支払った金額に見合った価値を求めた結果の行為でないとすれば、一体何なのでしょうか?」(『バフェットからの手紙』P.153)というものがあります。
個人的には、この発言は、「使ったお金以上の価値(=value)が手に入れられると思って資本を投下するのが「投資」なんだから、valueを求めない「投資」なんて存在しないでしょ」という意味だと解釈しています。つまり、投資スタイルの違いは、何を価値(value)と考え、そのvalueをどう算定するかの違いに過ぎないと思うんですよね。
実は、私があえてブログのサブタイトルを「バリュー投資」ではなく「企業価値に基づく投資」としたのも、「バリュー投資」という言葉が何を指しているのかよく分からないので、「企業価値」(資産価値ではない)という言葉を選んだのです。
だから、個人的には、「資産バリュー」とか「収益バリュー」という言葉には違和感を感じます。グレアムは著書で「価値」を定義しているので構わないんですが、そのうち「価値」という言葉だけが独り歩きしてしまったんでしょうね。
余談ですが、私の個人的な意見では、バフェットがグレアムを「師」と仰いでいるのは、
企業の価値を算定し、株価が企業価値を大きく下回っている銘柄に投資する
という根本的なアイディアを学んだからだと思っています。でも、企業の「価値」が何か、という点では、グレアムと現在のバフェットには大きな違いがあると思うんですよね。バフェットとグレアムの関係を考えるときには、この点を考慮する必要があるかなと考えています。
こんにちは。エントリ読みました。
グレアム→バフェットに到るバリュー投資(敢えてこう言います)については、空色さんの仰るとおり、
バフェットがグレアムを「師」と仰いでいるのは、企業の価値を算定し、株価が企業価値を大きく下回っている銘柄に投資するという根本的なアイディアを学んだからだと思っています。でも、企業の「価値」が何か、という点では、グレアムと現在のバフェットには大きな違いがあると思うんですよね。
という点、要するに「安全域」という概念だけなんでしょうね。バフェット以外の所謂バリュー投資家と呼ばれる人々もバフェットとは違う方法で安全域を利用した投資を行っている点から、グレアムが「バリュー投資の父」と呼ばれているのだと思います。
また、突き詰めて言えば、バフェットの言うとおり「バリュー投資」という言葉は冗長なんでしょうが、現在では業界の一般的な用語としてバリュー投資≒割安株投資として使われているように思うので、私はあまり気にせず使っています。ファンドなどがバリュー/グロースと分類されていると判りやすいですし。
「バフェット」や「バリュー投資」という単語から自分の考えを展開していくと、ほんと人それぞれの考え方が出てきますね。こうやってブログを書いたり読んだりしているといろいろな意見が聞けて面白いです。
バリュー/グロースという分類だと、バフェットはグロースになりません?
だからどうだ、というわけではないんですが。
Itoさんの仰るとおり、抽象的なテーマにするといろんな投資家の考え方を知ることができて面白いですよね。
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後でじっくり、読みたいと思います。レバレッジ君私が子ども手当を支持しない2つの理由お邪魔します。
思うに子ども手当の根底にあるのは「子供達のためだから」という「主観的な善意の絶対化」ではないでしょうか。それは「女性のため」という「選択的夫婦ブロガー(志望)私が子ども手当を支持しない2つの理由私も子供手当は反対です。理由は、今は景気回復に全力を尽くすべきだから
です。子供手当の経済波及効果は極めて低いです。福祉をやってる場合か?
今がどんな時期なのかこなつホテル・ルワンダ>あつまろさん
コメントありがとうございます。
フツ族とツチ族って、統治しやすいようにベルギーが体型や鼻の高さなどを基準に無理矢理2つに分けただけで、実際に空色ホテル・ルワンダホテルルワンダ、私も印象に残っている映画です。
ツチ族とフツ族は以前から小競り合いはあったと思いますが、
旧宗主国のベルギーがツチ族を優遇したことで、憎悪がわきあつまろ