バフェットの株式投資スタイルについて最近思うこと。
私は最近、バフェットの株式投資スタイルは、いわゆる「バリュー投資」とは似ているようで本質的には異なるものなんじゃないかと感じています。
ところで、「バリュー投資」という言葉の定義は非常に多義的で曖昧なので、ここでは本題に入る前に、
「いわゆる『バリュー投資』」とは、「株価は短期的にはランダムであるが、長期的には企業の内在価値に収束する」という「法則」に則り、定量分析・定性分析等に基づき、その企業の内在価値に比べて割安と考えられる企業の株式を購入して一定期間保有した後、株価が企業の内在価値に収束したと考えられる段階で売却して投資収益を確定する投資戦略をいう
と定義します(なお、以下では、単に「バリュー投資」といいます。)。
さて、「バリュー投資」では、それが数か月後なのか数十年後なのかはともかく、その企業の株価が内在価値に収束したと考えられる段階でその株式を売却することにより、投資の利益を得ることができます。
私も当初、このような考え方に基づいて本格的に株式投資を始めたわけですが、その後、この考え方にはいくつか違和感を持つようになりました。
私が抱く最も大きな違和感は、
○株価が収束することとなる「企業の内在価値」は時間とともに変化する
○株価がいつ「企業の内在価値」に収束するかが分からない
→ このため、出口となる株価及び投資期間が不明であり、投資の段階で投資収益率が予測できない
ということです。
これに対して、私の理解するバフェットの株式投資スタイルは、「企業が稼ぐ利益のうち自己の持分に相当する分が投資収益である」というスタイル。自分がその企業の全株式の1パーセントを保有しているとしたら、その企業の利益の1パーセントが自分の投資収益であるという発想です。
このように考えた場合、「バリュー投資」では株式の売買損益を投資期間で割ることによって投資収益率が算定されるのに対し、バフェットの株式投資スタイルはEPSを一株あたりの購入価格で割ることによって投資収益率が算定さます(配当等は考慮しない。)。
つまり、「バリュー投資」は、企業の内在価値に着目しているものの、投資の対象はあくまで株式であるのに対し、バフェットの株式投資スタイルの投資対象は企業そのものと考えることができます。
私の場合、このように考えるようになってから、株価の短期的な値動きが以前と比べて気にならなくなり、投資先企業の業績や経営方針の方により関心が向くようになりました。
もちろん、バフェットに直接確認したわけではありませんので、上記はあくまで私の勝手な解釈です。それに、私の考えるバフェットの株式投資スタイルにもいろいろと悩ましい点はありますし、このスタイルが「バリュー投資」より優れているとか、高い投資収益率が期待できるというつもりもありません。誰にでも高い投資収益率が期待できる「優れた投資戦略」なんて存在しないと思っていますので。
でも実際のところ、他の個人投資家の方ってバフェットの株式投資スタイルをどのように解釈しているだろう? 解釈は人それぞれなので議論するつもりはありませんが、よかったら聞かせてください。
こんにちは。
バフェットは最終的に出口(現金化)を考えないという、数段飛びの発想があるからこそできるスタイルなんじゃないかなあと思います。
いずれ現金化するなら、株価を考えざるを得ないはずですから。
僕はやっぱり、資産を持つだけでなく、現金で煩悩を満たしたいですw。
どの時点からと区切りをつけるのは難しいですが、バフェットさんは投資家ではなく企業経営者に変身したと考えています。だから投資家という範疇で考えようとすると、どうにも頭がこんがらがってしまうのだと思います。
んにゃ、バフェットは「自分は経営の能力ないから全部人任せ」といつも公言してますよ。
あと、「支配率によって実行できる選択肢の違いはあるけど、会社を評価する基準は保有比率が100%でも1%でも基本的に同じ」とも。
普通の投資家との違いとして目立つのは、経営者の資質や誠実さをかなり重視することですね。
保有比率が増えると経営者を選ぶ権利も持つことになるのでより経営者を重視するようにはなったと思いますが、持ち株会社&投資会社であるバークシャ以外の経営には直接タッチしないことにしてるそうです。
私も基本的にまろさんと同じ意見です(TBの通り)。
バフェットは投資先の経営に大株主として影響力を行使している場合もありますし、何よりも優秀な経営者に経営を一任するということ自体が高度な経営判断だと思います。
Itoさん
経営者の人事を行使できない程度の株を買う場合、それは会社の将来的な価値を信用することと同時にその会社の経営者を信用することも意味するといえますよね。
だから
>優秀な経営者に経営を一任するということ自体が高度な経営判断
をバフェット風に解釈すれば「株を買うこと自体が高度な経営判断」ともいえるのではないでしょうか。
昔からそうだったかはわかりませんが、「保有比率によって評価の仕方を変えたりはしない」というのはそういうことかと。
私自身がそう考えているというより、Itoさんのコメントと私が勝手に解釈しているバフェットのスタンスをすり合わせたら面白い結論が出てきたなと思ったので書きこませてもらいました。
バリュー投資は本来資産株投資だけだと思います。収益バリューは、バリュー投資の拡大解釈。グレアム先生の本意ではないと思います。資産株投資だけが賢明なる投資家。
しかし価格が価値に収束するっていうのは、感覚的にはわかりますが、いつまで待つんだと言われれば、そんなこと知りませんとしか答えられないです。
でも清算価値割れという理不尽は、神様も許さないでしょう。
>アルビレオさん
> バフェット風に解釈すれば「株を買うこと自体が高度な経営判断」ともいえるのではないでしょうか。
これはとても面白い考え方ですね。株式投資=経営というのがバフェットの投資(ビジネス?)ということになるのでしょうか。私のブログでも引用しましたが、バフェットがバリュー投資という言葉は投資という言葉と同じで”バリュー”という言葉は冗長で不要である(といったニュアンスのこと)という言葉もアルビレオさんの考え方であれば納得できます。これでなんとなく落ち着いた感がありますかね?(笑。
>こなつさん
はじめまして、いつもブログ拝見させていただいております。
私もグレアムの『賢明なる投資家』や『証券分析』を読んだ直後はバリバリの超古典派バリュー投資家を目指していました。ただ、さすがにグレアム時代よりは市場が効率化しているであろう現代では、簿価割れした株はそれだけの価値しかないと値付けされている可能性が高いのではとも考えています。確かグレアムも晩年は資産価値に着目したバリュー投資は難しいと述べていたと思います。
かといって、バリュー投資家を名乗りながら将来の成長性を過剰評価して割安銘柄として買って人々を見ると、それもおかしいと感じてしまいます。確実に収益を上げている割安株(資産的にも)に投資するというのが今の私のスタンスでしょうか(テキストで言えば、『バリュー投資入門』のような感じです』)。
>○田×男さん
>まろさん
>Itoさん
>アルビレオさん
>こなつさん
コメントありがとうございます。大変参考になりました。
長文になりそうなので、コメントは別の記事として掲載させていただきます。
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空色さんの「投資するのは企業か、株式か。」へのTB
以下に紹介する空色さんのブログのエントリを読んで、私もいろいろ考えたことがあったので、以下、私の考えを自分なりにまとめてみます。
...
[2008/04/06 00:33]
URL
The Intelligent Investor
後でじっくり、読みたいと思います。レバレッジ君私が子ども手当を支持しない2つの理由お邪魔します。
思うに子ども手当の根底にあるのは「子供達のためだから」という「主観的な善意の絶対化」ではないでしょうか。それは「女性のため」という「選択的夫婦ブロガー(志望)私が子ども手当を支持しない2つの理由私も子供手当は反対です。理由は、今は景気回復に全力を尽くすべきだから
です。子供手当の経済波及効果は極めて低いです。福祉をやってる場合か?
今がどんな時期なのかこなつホテル・ルワンダ>あつまろさん
コメントありがとうございます。
フツ族とツチ族って、統治しやすいようにベルギーが体型や鼻の高さなどを基準に無理矢理2つに分けただけで、実際に空色ホテル・ルワンダホテルルワンダ、私も印象に残っている映画です。
ツチ族とフツ族は以前から小競り合いはあったと思いますが、
旧宗主国のベルギーがツチ族を優遇したことで、憎悪がわきあつまろ