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廣宮孝信著「国債を刷れ!」

先日Twitterで見かけた廣宮孝信著「国債を刷れ!」を読みました。
本書の概要は以下のとおりです。
○日本が重視すべきはプライマリーバランスより「実質所得の増加率」である。
○実質所得を重視するためには福祉政策、公的部門の拡大など財政支出の増加によりGDPを成長させる必要がある。
○政府支出はGDPの大きなウェイトを占めているので、政府支出を増加させなければGDPは成長しない。
○政府支出の財源には国債を充てればよい。国債残高(国債残高/GDP比率)が大きくなると国家が破綻するというのは大ウソである。
○政府支出の拡大によりGDPが成長すれば、国債残高/GDP比率が小さくなるので、財政の健全化にもつながる。
○大量に刷った国債は日銀が引き受ければ良い。日銀が国債を引き受ければ、政府が国債利息とほぼ同額が法人税・国庫納付金として政府に戻ってくるので、事実上調達コストが0になる。
である。
○日銀の国債直接引受けにより通貨供給量が大幅に増えると悪性インフレが懸念されるが、日本は現在デフレであるし、ジンバブエのような国と違って供給力が需要を上回っているので、通貨供給量が大幅に増えても悪性インフレは起こらない。
○したがって、日銀の直接引受けにより国債を大量発行し、政府支出を拡大するべきである。

個人的には、読んでいて違和感を覚えました。

プライマリーバランスを重視するあまりに必要な政府支出を削減するよりも積極的かつ効果的な政府支出を通じてGDPを成長させるべき、という意見には賛同します。

しかし、著者の主張は、政府が自由に通貨を発行できるようにすべきと言っているのと同じで、そもそもどうして世界の多くの国家で、中央銀行という政府とは独立した機関が通貨発行をコントロールするようになったのかという点についての考察が足りないように感じられます(本書では、その点についての考察もなされてはいますが。)。

本書では通貨発行益(著者によると発行通貨の額面価格―印刷コスト)があるので通貨を発行すればするほど国が儲かるという考え方も示されていますが、通貨発行益をそのように認識することにも違和感があります。

悪性インフレが起こらないとする理由についても、現状がデフレだからというのは理屈になっていない気がしますし、通貨を大量発行しても需要に応えられるだけの供給があればインフレは起こらないという意見についても、日本円に対する信任が損なわれるようなことになればインフレが起きてしまうような気がします。

著者は本書の中で自信の主張する積極財政策をケインズ派、構造改革政策をマネタリストと位置付け、過去の成功例(高橋是清やルーズベルト大統領)を引合いに積極財政策の正当性を訴えています。
しかし、いまどきケインズ派もないでしょうし、構造改革政策=マネタリストというくくりも個人的にはどうなのかぁと思います。

個人的には、現在の日本経済の状況をかんがみると、日銀の国債直接引受けと国債の大量発行という選択肢も考えざるを得ないのかなとも思いますが、それはあくまで禁じ手であって、著者のように国債の大量発行こそが正しい道というような考え方には最後までなじめませんでした。


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(参考URL)
○「中央銀行と通貨発行を巡る法制度についての研究会」報告書(PDF)

○日本経済研究センター

○富士通総研

○本石町日記
○ハリ・セルダンになりたくて
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[ 2009/11/28 12:24 ] 読書感想文 | TB(0) | CM(2)






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