久しぶりに、まじめな投資の話題です。 株式市場は、一時期に比べると幾分値戻ししましたが、未だ先行き不透明です。 株式市場から既に撤退してしまった個人投資家も少なくないようですが、株式市場に留まっている個人投資家の中にも、相場の低迷が随分続いたため、種銭を使い果たしてしまってじっと我慢を続けている方が多いのではないでしょうか(少なくとも私はそうです。)。 先日ふと思ったのは、私のような投資スタイルの場合、追加投資を継続できるだけの現金収入(キャッシュ・インフロー)の確保が重要だということです。 私は現在、安定した配当収入と株主資本の安定成長が期待できる優良企業を割安な価格で買い、できるだけ長期で保有するという、非常に安直な戦略を採っています。 投資した銘柄を売却するのは、投資した企業が実は優良企業でなかったとき(あるいは、優良企業でなくなったとき)、投資した企業の株価が適正水準を大きく上回ったとき、保有銘柄を現金化してでも投資すべき有望な銘柄が見つかったときだけです。 私の戦略では、保有銘柄を現金化する機会が限られますので、追加投資に充てる資金は、給与収入から投資に振り向けている分と、保有銘柄からの配当収入だけです。 この結果、追加投資に宛てられるのは毎月数万円ですので、ポートフォリオ全体からみると僅かな金額にとどまってしまいます。 それでも、市場が好調で保有銘柄の株価が好調なときは気になりませんでしたが、最近のように株式市場の低迷が続くと、いささか心許ないですし、何より絶好の投資機会を指を咥えて見ているほかないのがとても悔しいです。 敬愛するバフェットに思いを馳せると、彼には、若い頃には自分のビジネスで得た利益が、バークシャーには傘下の保険会社から得られるフロートがありますから、株式市場全体が冴えないときでもまとまった追加投資を行えたんじゃないかと思います。 そして、当たり前ですが、株式市場が冴えないときに投資できる資金が多いほど、株式市場が持ち直したときのパフォーマンスは向上することとなります。 こうして考えてみると、ビジネスや会計を学んで投資眼を養う必要があるのはもちろんですが、それ以上に、自分の現金収入を増やす努力をする必要があると感じました。やっぱり、世の中そんなに甘くないってことですかね。
先日LTCMの書籍を読んでから( 記事)、久しぶりに「効率的市場仮説」について考えてみました。 個人的に常々感じているのは、「市場が効率的なら株価はランダムになるかもしれないが、株価がランダムだからといって市場が効率的だとは言えないのではないか」ということです。 例えば、一般的に新興国の市場は欧米の先進国に比べて効率性に劣ると評価されているように思えます。 このように考える論拠は何でしょうか。 まず、新興国の市場は株価がランダムでない(一定のパターンが認められる)ので非効率であるといえるという考え方があり得ますが、少なくとも私は、どこの国のどの市場であれ、普遍的に通用するパターンが発見されたという話を聞いたことがありません。 また、新興国の市場の株価はランダムだけれども株価以外の点(規制制度や政治体制等)で重要な欠陥があるので非効率であるといえるという考え方もあり得ますが、この場合、例えば米国も同様の重要な欠陥を抱えた場合には(あるいは過去に抱えていた時期においては)非効率となり得るということを認めるのかどうかという問題が生じます。 この辺のところ、効率的市場仮説を採用する方々はどう考えていらっしゃるんでしょうか。 また、インデックス投資家のブログでは、インデックス投資を実践している個人投資家でも効率的市場仮説を信じている人の割合はそれほど多くないという意見も散見されます。 確かにインデックスに投資すれば自動的に市場平均と同程度のリターン(マイナスの可能性もあるが、「平均的」な投資家よりも大きな損失を負担する可能性はない)が期待できるので、そのような理由からインデックス投資を実践することは考えられます。 他方で、効率的市場仮説は信じていないとする一方で、リスクをボラティリティと考えて金融商品を評価したり、資産クラスの相関関係を考慮してアセットアロケーションを考えているという趣旨の記事やコメントを拝見すると、「それって結局効率的市場仮説を信じていることになるんじゃないの?」と感じることもあります。 とまあ、とりとめもなくいろいろと書きましたが、私のような投資家にとっては、何も考えずに株式市場に資金を供給してくれるインデックス投資家の方々は貴重な存在なので、サブプライム問題とそれに続く経済危機に負けず、これからも信念を貫いて頑張ってほしいと思います。
1か月以上も前になりますが、PALCOMさんがブログに 「個別株投資に関する若干の疑問」という記事を書かれていました。 この記事に、次のような記述がありました(当該記事から抜粋)。 個別銘柄投資に関しては、一般に、以下の仮定が置かれていると思います。 ① 企業にはrigidな価値がある ② 私は企業の価値を正しく把握できる ③ 価値と価格に差がある銘柄を見つければ儲かるこの仮定を読んで、「私には全然当てはまらないな~」と感じました。 実は、本格的に株式投資を始めた当初は、PALCOMさんが書かれていたとおりの考え方で投資をしていました。ブログの副題に「企業価値に基づく投資」と付けたのも、そうした考え方が背景にあったからです。 ところが、その後いろいろと勉強していった結果、いつしか「企業価値を正確に計算できない」と考えるようになっていました。PALCOMさんの記事を読んで、あらためてその点を再認識させられたところです。 では、なぜ私が(インデックス投資ではなく)個別株投資をするのかをあらためて整理すると以下のとおりです。 ①企業の決算書をきちんと読めば、企業の経営状態を把握することができる ②企業の収益と株価を比較すれば、割安な企業を見つけることができる ③経営状態のよい割安な企業を見つければ儲かる インデックス投資は、株式市場という抽象的な存在に自分の資産の将来を預けてしまっているような気がして、性格的にそもそも好きにはなれません。シンプルなインデックス投資の方が経済学的に正しいことは間違いないのでしょうが、橘玲さんが書かれていたように「人間には正しくないことをする自由もある」と思いますから(原文を確認していないので、多少表現が違ったらすいません。)。 ところで、PALCOMさんの記事は、次のような文章で終わっています。 個別銘柄投資で成功するには、定性分析に成功しなければならないと思いますが、定性分析というのは、経営に近いものだといっても過言ではないのではないで しょうか?事実、日米ともに最高の投資家といわれている方には、経営者の経験があります。個別銘柄投資というのはリスクも高く、お金も必要で、しかも経営者的センスが不可欠だとすれば、独立して稼いだ方が早いのではないかというのが私の感想です。独立して稼ぐかどうかはお金の稼ぎ方の問題で、個別株投資とインデックス投資のどちらを選ぶかは稼いだお金の投資方法の問題ですから、ロジックとしてはどうなのかなと思います。 (まあ、彼のブログは以前から読んでいるので、仰りたいことはよく分かりますが。)
相互リンク先の2人の記事が面白かったので参戦(?)します。 ○株式十八番!「バリュー投資とインデックス運用の違い」○PALCOMの海外投資塾「インデックス投資 vs バリュー投資」話を始める前に、公正を期すため、最初に自分の立ち位置を表明します。 ○個別株投資とインデックス投資は併用(個別株投資は国内だけ、インデックスは国内・国外両方)。 ○市場は非効率的だと信じている(市場は時々間違えるが、それは自分が正しいことを意味しない) さて、話を進めます。 個人的には、このテーマはいつも議論が噛み合いません。それはどうしてかといえば、「インデックス投資家」と「バリュー投資家」では投資に対する基本的な認識が違うからです。 現代金融理論の大前提として、「リスクはボラティリティである」という概念がります。「インデックス投資家」の方は当然、この前提(及びこの前提を踏まえて構築されたさまざまな議論)を当然のこととして話を進めることになります。 ところが、「バリュー投資家」の考える「リスク」とは、投下資本が元本を毀損することです。ボラティリティをリスクと捉えるなんてナンセンス、と考えているのですから、そのナンセンスな概念を前提として成り立っている理論なんてとてもじゃないが信用できない、というのが「バリュー投資家」の立場です。 また、PALCOMさんは、海外投資にはインデックス投資の方が適していると指摘されていますが、これも「海外分散投資が必要」という前提があって成り立つ議論です。 個人的には、「バリュー投資」はリターンの極大化を目指す投資戦略で、「インデックス投資」は資産の保全(実質購買力の確保)を目指す投資戦略だと考えています。前者は一攫千金を夢見る庶民のための戦略、後者は子孫の安泰を願う資産家のための戦略、と言っていいかもしれません。 つまり、「バリュー投資」で重要なのは十分なリターンの見込める投資機会です。米国の方が儲かると思えば米国に投資するのでしょうが、「海外分散投資」は絶対条件ではありません。 つまり、私が言いたいのは、前提条件を整理しないとそもそも議論が成立しない、ということです。 「バリュー投資」と「インデックス投資」のどちらが優れているのか、それぞれの立場から思い入れのある方が自分の思いを主張されるのは自由ですが、自分の主張が論理的に正しいとまで主張されるのであれば、議論の前提条件からきちんと整理する必要があると思います。 ちなみに、個人的には、どちらが優れているのかはあんまり興味がありません。 私はバフェット氏を尊敬して個別株投資を実践していますが、金融資産のかなりの割合はETFで運用されていたりします。どっちつかずと言われようと気になりません。私にとって投資はあくまで手段であって、目的ではありませんから(といいつつ、「バリュー投資」能力の向上は目的だったりします)。 大切なのは「バリュー投資」と「インデックス投資」のどちらが優れているかより、それぞれの投資家が現在の相場環境でも将来を見据えて行動できるかどうか、だと思います。 それに、いまこの時期に株式市場に身を置いているという点で既に世間一般からは十分に「浮いて」いるわけですから、浮いている同士で些細な相違を議論したって仕方ありません(笑)
先日の記事 「『バリュー投資家』の現状 その1」の続きです。 (2)「バリュー投資家」はどうして買い出動しないのか(株価がこんなに割安なのに) 相互リンク先の Itoさんは、インデックス投資家の 水瀬さんのこんな疑問をきっかけに、いろいろ思索を巡らせていらっしゃいます。 不思議なのですが、バリュー投資家さんはこういう時こそ、買い出動されないのでしょうか。 普段一生懸命研究されている、PERやPBRが割安な銘柄が市場にあふれているように思えるのですが…。個人的には、「バリュー投資」では売買のタイミングを過度に重視する必要はないと考えています。 重要なのは「大幅な割安価格で買えたかどうか」であって「大底で買えたかどうか」ではありません。長もし既にディスカウント価格で投資ができているなら、その後の値下がりを気に病む必要はありません。また、もうしばらく様子を見て、結果として大底で買う機会を逃したからといって、そのときの買値がディスカウント価格であれば、やはり気に病む必要はありません。 私の敬愛するバフェットですら、バフェットがアメリカン・エキスプレスに投資してから同社の株価はさらに1年以上も値下がりを続けましたし、反対に、バフェットがコカ・コーラに投資したのは同社の株価が大底を売ってしばらくしてからです。 あの大御所ですらマーケットタイミングは気にしていないのですから、彼の足元にも及ばない(と思う)我々はマーケットタイミングを気にする前に、自分の主観的なバリュエーションの精度を高める方に専念する方が賢明かなと思います。 ですから、 「株価は数年来の安値なのに、なんでいま買わないんだ?」と聞かれた場合、 「先週もかなり安値だったから、もう買っちゃったよ」もアリだし、 「さらに大バーゲンになりそうだから、もう少し様子を見るよ」もアリ。 もちろん、 「株価の値下がりは企業価値の低下を反映した結果だから、バリュエーション的には全然割安じゃないよ」だってアリだと思います。 それはそれとして、株価がここまで下がってくるとワクワクしてきませんか? 私は2005年の上昇相場の直前に株式投資を始めましたが、当時は素人だったのでリターンはいまいちで、「投資を始めるのがもう2~3年早ければ」と悔やんだもの。 あれから3年が経ち、株価があの頃の水準に戻っているわけですから、こんなに幸せなことはありません。これから30~50年の投資人生を考えても、今回のような機会に恵まれる幸運は数えるほどしかないように思います。
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後でじっくり、読みたいと思います。レバレッジ君私が子ども手当を支持しない2つの理由お邪魔します。
思うに子ども手当の根底にあるのは「子供達のためだから」という「主観的な善意の絶対化」ではないでしょうか。それは「女性のため」という「選択的夫婦ブロガー(志望)私が子ども手当を支持しない2つの理由私も子供手当は反対です。理由は、今は景気回復に全力を尽くすべきだから
です。子供手当の経済波及効果は極めて低いです。福祉をやってる場合か?
今がどんな時期なのかこなつホテル・ルワンダ>あつまろさん
コメントありがとうございます。
フツ族とツチ族って、統治しやすいようにベルギーが体型や鼻の高さなどを基準に無理矢理2つに分けただけで、実際に空色ホテル・ルワンダホテルルワンダ、私も印象に残っている映画です。
ツチ族とフツ族は以前から小競り合いはあったと思いますが、
旧宗主国のベルギーがツチ族を優遇したことで、憎悪がわきあつまろ