「ホテル・ルワンダ」は、1994年のルワンダ内戦を描いた映画。
当時のルワンダでは、多数派のフツ族によるジェノサイド(民族浄化)によって、数十万人のツチ族が虐殺された。
この映画は、そうした状況で、ホテルに多くのツチ族を匿ってその生命を救ったフツ族のホテル支配人のお話。
この映画には、いろんなものが描かれている。
ラジオで住民に蜂起(虐殺)を呼びかけるフツ族の過激派。
ナタで昨日までの隣人に襲いかかるフツ族の住民。
銃火器で武装しているのに、規則で縛られていて住民を助けられない国連平和維持部隊。
賄賂があるかどうかで、守ってあげるかどうかを決めるルワンダの将軍。
まさに殺されようとしている人々を見捨てて引き上げてしまう欧米の軍隊。
レイプした後で殺すために女性を閉じ込めている檻や、一面に散乱しているツチ族の老若男女の遺体(当然、老人や赤ん坊の遺体もある)など、作りものだと分かっていても思わず顔をしかめてしまうような光景も少なくない(映像自体はそれほど血生臭くない)。
この映画の印象的なシーンとして、主人公と欧米人記者とのこんなやりとりがある。
虐殺の映像を放映してくれてありがとう、これで外国の軍隊が助けに来てくれるだろうと礼を言う主人公に対して、欧米人記者は申し訳なさそうに、これを観た連中は「怖いわね」と言うだけでそのままディナーを続けるさ、と答えるというもの。
このシーンを観て、以前、アメリカの政府高官が「1000人の外国人の命より、1人のアメリカ人の命の方が大切だ」と話していたのを思い出した。
たしかに、「1人の命は地球より重い」「命の重さはみな同じ」なんて言うけど、そんなのは嘘っぱちだ。
ルワンダ人にしてみれば、こんなにひどいことが行われているのにどうして誰も助けてくれないんだ、という思いだろうけど、外国人にとっては、名前も知らない他人の命を助けるために、どうして自分や自分の家族の命を危険にさらさなきゃいけないんだ、と考えるのは仕方のない話。作品では「欧米諸国ひどいじゃん!」という描き方だったけど、個人的には、別に外国人が冷酷なわけではないんじゃないかと思った。
ちょっと話は逸れるけど、以前、ルワンダ中央銀行に総裁として派遣された日本人が執筆した「ルワンダ中央銀行総裁日記」という本を読んだ。その本では、貧しいながらも国の発展と国民の幸せを願って奮闘するルワンダ人政治家の姿が描かれていた。その本の舞台は1960年代後半。それから30年も経たないうちに民族同士で殺し合うような国になってしまうなんて、悲しいし、怖いと思った。国が破綻していくのに、それほど長い時間は必要ないってことか。
この映画、非常に重いテーマな割に、それほど暗くないから不思議。
作品全体にどことなくユーモアがあるというか…
主人公は実在の人物で、「アフリカのシンドラー」とも呼ばれているそうだけど、「シンドラーのリスト」とはずいぶん趣きの違う映画。
個人的には、ボスニア内戦をテーマにした「ノーマンズ・ランド」に似ているな、と思った。
それにしても、いろんなことを考えさせられる映画です。
重いテーマの割に血生臭いシーンもそんなに多くない。
できるだけ多くの人に見てほしい映画です。
(余談)
この映画でもう一つ印象に残ったのは、物語の冒頭で、主人公が当たり前のように役人に賄賂を渡しているシーン。
賄賂が完全に日常生活の一部になっているという感じ。
ジム・ロジャースの本にも書いてあったけど、アフリカって本当に賄賂社会なんだなあと思った。
後でじっくり、読みたいと思います。レバレッジ君私が子ども手当を支持しない2つの理由お邪魔します。
思うに子ども手当の根底にあるのは「子供達のためだから」という「主観的な善意の絶対化」ではないでしょうか。それは「女性のため」という「選択的夫婦ブロガー(志望)私が子ども手当を支持しない2つの理由私も子供手当は反対です。理由は、今は景気回復に全力を尽くすべきだから
です。子供手当の経済波及効果は極めて低いです。福祉をやってる場合か?
今がどんな時期なのかこなつホテル・ルワンダ>あつまろさん
コメントありがとうございます。
フツ族とツチ族って、統治しやすいようにベルギーが体型や鼻の高さなどを基準に無理矢理2つに分けただけで、実際に空色ホテル・ルワンダホテルルワンダ、私も印象に残っている映画です。
ツチ族とフツ族は以前から小競り合いはあったと思いますが、
旧宗主国のベルギーがツチ族を優遇したことで、憎悪がわきあつまろ